公開: 2026年6月29日 / 最終更新: 2026年6月29日 / 確認: 2026年6月29日 / 著者: 営業実務ラボ編集部
NEW SALES OF THE YEAR 2026から考える、営業組織改革で評価される会社の条件
営業組織の表彰ニュースを、自社の営業マネジメント、会議体、育成、データ活用の見直しにどうつなげるかを整理します。

編集部の見立て
営業組織の表彰ニュースは、受賞企業名だけでなく、営業組織が何をもって評価されるのかを見る材料です。個人の営業力だけでなく、商談プロセス、育成、会議体、データ活用、部門連携まで含めた再現性を確認します。
- ・営業改革は再現性と部門連携で見る。
- ・受賞事例は自社の属人化を見つける材料にする。
- ・最初に営業会議、案件レビュー、SFA項目を見直す。
株式会社ナレッジワークの発表によると、「Forbes JAPAN NEW SALES OF THE YEAR 2026」のグランプリ企業がイトーキに決定し、授賞式が開催されました。発表タイトルでは、新時代の営業組織のモデルケースを選出する取り組みとして紹介されています。
このニュースは、単なる表彰情報として読むだけではもったいないものです。営業実務の観点では、どの企業が選ばれたか以上に、「いま営業組織は何をもって評価されるのか」を考える材料になります。
営業組織の強さは、長く個人の売上、ハイパフォーマーの商談力、達成率で語られてきました。もちろん、それらは今も重要です。ただ、B2B営業の難度が上がるほど、成果は個人の力量だけでは作りにくくなります。顧客側の関係者は増え、稟議は長くなり、導入後の活用や更新まで見られます。営業だけでなく、CS、マーケティング、プリセールス、プロダクト、経営層との連携が成果に直結します。
そのため、営業組織改革のニュースを見るときは、「何か新しい施策をやっているか」よりも、「成果を再現できる状態になっているか」を見るべきです。
営業組織の評価軸は、個人技から再現性へ移っている
営業組織が強いかどうかは、トップ営業がどれだけ売るかだけでは判断できません。むしろ重要なのは、トップ営業だけができている行動を、他のメンバーも使える形に落とせているかです。
たとえば、エンタープライズ案件を進める営業担当が、顧客の意思決定者、稟議の順番、技術確認、導入後の運用負荷まで自然に確認しているとします。その担当者だけが成果を出している場合、それは個人の能力です。一方で、その確認項目が案件レビュー、商談準備テンプレート、提案レビュー、CS引き継ぎに組み込まれていれば、組織の営業力になります。
営業改革を考えるときは、次の問いから始めるとよいです。
- 成果が出ている営業担当の行動は、他メンバーにも説明できる形になっているか
- 案件レビューでは、担当者の感覚ではなく、顧客の意思決定に必要な事実を確認しているか
- 営業会議は、数字報告で終わらず、案件を前に進める判断の場になっているか
- SFAやCRMの入力項目は、管理のためではなく、次の営業判断に使われているか
- AEからCSへの引き継ぎは、議事録共有ではなく、導入後の成功条件まで含んでいるか
これらに答えられない場合、表面的に営業改革を打ち出しても、現場には定着しません。
ニュースを自社に置き換えるときの見方
受賞企業の取り組みを、そのまま自社に当てはめる必要はありません。業界、商材単価、営業期間、顧客規模、導入支援の重さが違えば、営業組織の正解も変わります。
今回確認できる公開情報では、「Forbes JAPAN NEW SALES OF THE YEAR 2026」のグランプリ企業がイトーキに決定し、授賞式が開催されたことが示されています。ここで注意したいのは、受賞企業名だけをもとに「この施策を真似ればよい」と短絡しないことです。営業組織の表彰ニュースや営業改革事例は、自社の施策を決める答えではなく、評価軸を見直す材料として使う方が実務的です。
| 確認できること | 記事での読み方 | 自社で確認すること |
|---|---|---|
| NEW SALES OF THE YEAR 2026でグランプリ企業が発表された | 新しい営業組織像を考えるきっかけとして読む | 自社では営業組織を何で評価しているか |
| 受賞企業がイトーキである | 企業名ではなく、組織として成果を再現する仕組みに注目する | 個人の成果と組織の仕組みを分けて見ているか |
| 授賞式が開催された | 営業改革が社外からも評価対象になっていると捉える | 営業会議、育成、データ活用、部門連携を説明できるか |
自社で見るなら、まずは「営業成果がどこで属人化しているか」を確認します。
| 見直す領域 | 確認すること | よくある危険信号 |
|---|---|---|
| 商談準備 | 顧客課題、関係者、導入背景、競合状況を事前に確認できているか | 商談前準備が担当者ごとのメモに閉じている |
| 案件レビュー | 受注に必要な未確認事項を見ているか | 次回アクション確認だけで終わる |
| 営業会議 | 案件を前に進める判断がされているか | 売上見込みと活動量の報告だけになる |
| 育成 | 成果者の行動が言語化されているか | 同席やOJTに頼り、再現できる教材がない |
| データ活用 | SFAの入力項目が営業判断に使われているか | 入力はしているが会議で見ない |
| AE/CS連携 | 受注前の期待値と導入後の成功条件がつながっているか | CSが受注後に目的確認からやり直す |
営業改革は、大きな制度変更から始める必要はありません。むしろ、営業会議のアジェンダ、案件レビューの確認項目、SFAの必須項目、CSへの引き継ぎテンプレートを見直す方が、現場の変化につながりやすいです。
営業組織改革でまず見る3指標
営業組織改革を始めるとき、いきなり売上、受注率、活動量だけを見ると、どこを直すべきかがぼやけます。最初は、組織として再現性があるかを確認できる指標に絞ります。
| 指標 | 見る理由 | 危険信号 |
|---|---|---|
| 案件前進率 | 商談が次の合意へ進んでいるかを見る | 商談数は多いが、同じステージで滞留している |
| レビュー後の次回合意率 | マネージャー支援が案件前進に効いているかを見る | レビュー後も次回合意、関係者紹介、宿題回収が増えない |
| 育成対象行動の再現率 | トップ営業の行動が他メンバーに移っているかを見る | 研修や同席後も、確認項目や提案準備が担当者ごとにばらつく |
この3つは、営業責任者、営業マネージャー、RevOpsが同じ会議で見られる指標です。売上結果だけではなく、組織が案件を前に進める力を見ます。
営業会議で使うアジェンダ例
営業組織改革を現場に落とすなら、会議アジェンダを変えるのが早いです。次のように、報告ではなく判断に寄せます。
| 時間 | 議題 | 確認すること |
|---|---|---|
| 5分 | 今週の数字確認 | 目標との差分だけを確認し、詳細説明に時間を使いすぎない |
| 15分 | 停滞案件レビュー | 顧客側の未確認事項、関係者、次の合意条件を確認する |
| 10分 | 成果行動の共有 | トップ営業の成功談ではなく、他メンバーが使える確認項目に変換する |
| 10分 | SFA/CRM項目の確認 | 会議で使われなかった入力項目、足りなかった項目を確認する |
| 5分 | 次回までの変更 | 誰が、どの案件で、何を試すかを一つに絞る |
このアジェンダにすると、「頑張ります」で終わる会議を減らせます。会議の成果物は、報告資料ではなく、次回商談で確認する項目、SFAに残す項目、マネージャーが支援する案件です。
SFA/CRMで最初に見る項目
営業改革でSFA項目を増やす前に、次の項目が会議で使われているかを確認します。
| 項目 | 使い道 | 入っていないと起きること |
|---|---|---|
| 現在ステージ | 案件前進率と滞留を確認する | 担当者ごとに進捗判断がずれる |
| 次回アクションと期限 | 顧客との次の合意を確認する | 「フォロー中」のまま案件が止まる |
| 顧客側の意思決定者 | 稟議や承認の順番を見る | 担当者接点だけで商談が進まなくなる |
| 未確認事項 | 次回商談で何を聞くか決める | 提案後に追加確認が増え、停滞する |
| 失注・停滞理由 | 改善テーマを特定する | 価格負けや時期違いで分析が止まる |
| CS引き継ぎメモ | 受注後の期待値をつなぐ | CSが導入目的や約束事項を受注後に確認し直す |
ここが埋まっていない場合、新しい改革施策よりも、入力定義と会議での使い方を先に整えるべきです。
よくある失敗: 新しい営業組織を作ろうとして、現場の入力だけが増える
営業改革で起きやすい失敗は、制度やツールを先に増やしてしまうことです。
「営業の型を作る」と言って入力項目を増やす。新しいダッシュボードを作る。会議体を増やす。資料テンプレートを増やす。これらは一見すると改革に見えますが、現場の判断が良くならなければ意味がありません。
特に注意したいのは、SFAやCRMの項目追加です。入力項目を増やせばデータが増えるように見えますが、その項目を誰が、いつ、何の判断に使うのかが決まっていなければ、現場の負担だけが増えます。
入力項目を増やす前に、次の順番で考えます。
- どの会議や判断で使う情報か
- その情報は営業担当が事実として入力できるか
- マネージャーはその項目を見て何を判断するか
- RevOpsや営業企画は表記ゆれや定義をどう管理するか
- 入力されなかった場合、何が困るか
この順番を飛ばすと、営業改革は「入力と会議が増えた」で終わります。
まだ大きな営業改革を始めなくてよい条件
このニュースを見て、すぐに大規模な営業改革プロジェクトを始める必要はありません。
特に、次の状態であれば、まずは現場運用の整理から始める方が現実的です。
- 営業プロセスのステージ定義が人によって違う
- SFAの入力率が低く、会議で使われていない
- 案件レビューが、担当者への詰めや進捗確認だけになっている
- CSや導入支援への引き継ぎ条件が決まっていない
- 営業責任者が、どの指標を改善したいのかを言語化できていない
この状態で「新しい営業組織」を目指すと、現場は抽象的なスローガンと追加作業だけを受け取ることになります。まずは、商談の進め方、会議体、データ入力、引き継ぎの基準を整える方が効果は出やすいです。
明日から確認すること
営業責任者や営業企画は、次の3つを確認してください。
- トップ営業のやり方は、他メンバーに説明できる形になっているか
- 営業会議では、数字だけでなく案件の前進条件を確認しているか
- SFAやCRMのデータは、次の営業判断に使われているか
この3つに答えられない場合、営業組織改革の前に、まずは営業プロセスと会議体の再設計が必要です。
関連記事
主な出典
編集・監修について
この記事は営業実務ラボ編集部が企画、執筆、編集しています。制作過程で生成AIを構成案作成、草案整理、表現確認に利用する場合がありますが、公開前に編集部が事実関係、出典、表現を確認しています。外部専門家による個別監修が入る場合は、記事内で監修者名または監修有無を明記します。
進め方
実務で進める手順
手順 1
成果の属人化を確認する
トップ営業の行動が、他メンバーにも説明できる形になっているかを確認します。
手順 2
会議体を見直す
営業会議と案件レビューで、数字だけでなく案件の前進条件を確認します。
手順 3
データ項目を絞る
SFAやCRMの項目を、営業判断と会議で使うものから優先して整えます。
FAQ
よくある質問
営業組織改革は何から始めるべきですか?
最初に見るべきなのは、営業会議と案件レビューです。数字報告だけで終わらず、顧客側の意思決定者、未確認事項、次の合意条件を確認する場へ変える必要があります。
受賞企業の取り組みは自社でも真似るべきですか?
そのまま真似る必要はありません。商材、顧客規模、営業期間、導入支援の重さが違えば、必要な営業設計も変わります。
営業改革でSFA項目を増やすのは有効ですか?
有効な場合もありますが、会議や判断で使わない項目を増やすと現場負荷だけが増えます。誰が入力し、誰がレビューし、何の判断に使うかを先に決めます。
Related
次に読む記事

2026年5月15日
営業会議が報告会で終わる組織の見直し方
営業会議を数字の読み上げで終わらせず、案件支援、施策判断、次回アクションの意思決定へ接続します。
解決すること: 営業会議を報告ではなく案件支援と意思決定の場に変えられる。
対象: 営業責任者 / 営業マネージャー / RevOps ほか

2026年5月11日
Forecast会議を意思決定の場に変える
Forecast会議が数字の読み上げで終わらないよう、案件根拠、リスク、次の意思決定を確認します。
解決すること: Forecast会議を数字確認ではなく意思決定の場として設計できる。
対象: 営業責任者 / AE / RevOps ほか
Next Action
読後の次アクション
この記事のテーマを、資料、関連テーマ、相談のいずれかに接続できます。すぐ問い合わせる前に、社内で整理する材料として使ってください。
Forecast会議を意思決定に変えるチェックリスト
数字の読み上げで終わらせず、案件根拠、リスク、支援要否、次回確認日を決めるための会議運営チェックリストです。
営業会議の設計ガイド
案件確認だけで終わらせず、会議前に見る数字、会議中に聞く質問、会議後に残す決定事項を整理する実務ホワイトペーパーです。
Theme
営業マネジメント
Forecast、営業会議、育成、部門間連携など、営業組織の再現性を高めるテーマです。
Contact
このテーマを相談する
掲載、登壇、共同企画、記事企画の相談をフォームで受け付けています。