公開: 2026年7月18日 / 最終更新: 2026年7月27日 / 確認: 2026年7月27日 / 著者: 営業実務ラボ編集部
AEからCSへの引き継ぎテンプレート|解約・導入停滞を減らす確認項目
AEからCSへ、導入目的、成功条件、関係者、約束、未解決事項、初回90日の計画を引き継ぐテンプレートを記入例付きで整理します。

先に結論
AEからCSへの引き継ぎでは、契約情報だけでなく、導入目的、成功条件、関係者、約束事項、未解決事項、初回30日・90日の計画を渡します。正式合意と期待を分け、CSが初回オンボーディングで確認できる状態にします。
- ・成功条件を顧客の言葉で残す。
- ・約束と未解決事項を分ける。
- ・30日・90日の確認を共同で行う。
このテンプレートでできること
AEからCSへの引き継ぎを、契約情報や商談議事録の共有で終わらせず、CSが初回オンボーディングを設計し、顧客の期待値を確認できる一枚のテンプレートへ変えます。
テンプレートは入力欄を増やすためではなく、現在地と次の判断を同じ言葉で説明するための共通フォーマットです。使い始める前に、誰が入力し、誰が確認し、いつ更新するかを決め、会議や引き継ぎで実際に使う項目だけを残します。
テンプレートの基本項目
| 項目 | 入力する内容 | レビューで確認すること |
|---|---|---|
| 導入目的 | 顧客が変えたい業務と背景 | 製品機能ではなく顧客の成功状態になっているか |
| 成功条件 | 30日・90日で確認する成果と指標 | 誰が何を見て判断するか |
| 関係者 | 決裁者、管理者、利用者、推進者 | 初回オンボーディングで会うべき相手が分かるか |
| 契約・利用条件 | 契約期間、プラン、利用範囲、支援範囲 | 契約事実と商談中の期待が混ざっていないか |
| 約束事項 | 契約・商談で合意した支援範囲と期限 | 正式合意と期待を分けているか |
| 未解決事項 | 未確認の要件、懸念、確認担当 | 推測で埋めず次回質問になっているか |
| 導入リスク | 体制、データ、権限、現場定着の懸念 | 担当者と確認期限があるか |
| 初回90日計画 | 導入開始、初期設定、活用確認の期限 | AE・CS・顧客の担当があるか |
項目名は自社のSFAやスプレッドシートに合わせて変更して構いません。ただし、同じ意味の項目を複数作らないことが重要です。「確度」「温度感」「ヨミ」「見込み」のような似た言葉が並ぶと、担当者ごとに解釈が変わります。一つの項目には一つの判断だけを持たせ、定義を短い文章で説明できる状態にします。
自由記述は、背景を残すには便利ですが、比較や集計には向きません。選択肢で揃える項目と、顧客固有の文脈を残す記述欄を分けます。たとえばステージや支援要否は選択式にし、顧客の懸念や次回確認事項は短い文章で残します。
コピーして使える空欄テンプレート
次の表をスプレッドシートやSFAの下書きへコピーし、右端の入力欄を埋めてください。事実として確認できていない項目は推測で埋めず、「未確認」と入力して確認担当と期限を決めます。
| 項目 | 確認する内容 | 入力欄 |
|---|---|---|
| 顧客・契約 | 顧客名、契約開始日、プラン、契約期間、利用範囲 | |
| 導入目的 | 顧客が変えたい業務と、その背景 | |
| 30日・90日の成功条件 | 誰が、何を見て、成果と判断するか | |
| 関係者 | 決裁者、推進者、管理者、現場利用者、反対・慎重な関係者 | |
| 正式な約束事項 | 契約・提案で合意した支援範囲、成果物、期限 | |
| 期待・要望 | 顧客が期待しているが正式合意ではない内容 | |
| 未解決事項 | 未確認の要件、確認担当、確認期限 | |
| 導入リスク | 体制、データ、権限、現場定着、連携に関する懸念 | |
| 初回オンボーディング | 日時、参加者、当日確認すること | |
| 次回レビュー | 30日・90日の確認日、AE・CS・顧客側の担当 |
記入例
| 記入欄 | 記入例 |
|---|---|
| 導入目的 | 営業会議の集計工数を減らし、マネージャーが案件支援に時間を使える状態にする |
| 成功条件 | 90日以内に全営業が案件ステージと次回アクションを週次更新し、会議前集計を半日に短縮する |
| 関係者 | 決裁者は営業本部長、推進者は営業企画、管理者はSalesforce担当、利用者は営業30名 |
| 契約・利用条件 | 営業30名で利用開始。初期項目設計ワークショップ1回を支援範囲に含む |
| 約束事項 | 初期項目設計ワークショップを1回実施。個別のデータ移行代行は契約範囲外 |
| 未解決事項 | 情報システム部のセキュリティ確認時期と、各拠点の既存Excel管理を確認する |
良い記入例は、第三者が読んでも次の行動を判断できます。「先方検討中」「感触は良い」のような表現だけでは、何を待ち、いつ確認し、誰が動くのかが分かりません。顧客側の合意、未確認事項、期限、担当者を一つのセットとして残します。
記入例をそのまま正解にせず、自社で実際に起きた案件へ置き換えてレビューします。受注案件だけでなく、停滞案件と失注案件でも入力し、どの項目が早い段階で分かっていれば判断を変えられたかを確認します。テンプレートの改善材料は、理想的な案件より、判断に迷った案件から得られます。
導入するときの進め方
- 契約確定前にAEが顧客事実、約束事項、未解決事項を分けて入力する。
- 受注後5営業日以内にAE・CS・必要に応じて導入担当で15分の引き継ぎレビューを行う。
- CSは初回オンボーディング前に、成功条件と未解決事項を顧客へ確認する質問へ変える。
- 30日・90日の節目で、AEとCSが期待値のずれ、活用状況、更新リスクを確認する。
最初から全案件へ展開せず、5件から10件程度で試します。入力時間、レビュー時間、判断が変わった場面を確認し、使わなかった欄を削ります。項目を追加するときは「この情報がないと、誰がどの判断を誤るのか」を説明できる場合に限定します。
運用開始後は、週次会議や引き継ぎの場で必ずテンプレートを開きます。別の会議資料へ転記させると更新箇所が増えるため、SFA、スプレッドシート、資料のうち正本を一つに決めます。会議中に決まった支援者、期限、次回確認日は、その場で正本へ反映します。
よくある失敗
- 契約書や商談議事録だけを渡し、顧客が達成したい状態が分からない。
- 商談中の口頭説明を正式な約束として扱い、導入開始後に期待値がずれる。
- CSが未確認事項を知らず、初回オンボーディングで同じ説明を聞き直す。
- 引き継ぎを一度だけ行い、30日後の定着状況をAEが確認しない。
項目数が多いほど管理が正確になるわけではありません。使われない項目が増えると、担当者はすべてを同じ優先度で扱えず、重要な次回アクションまで古くなります。入力を増やす前に、会議で使わない欄を削る方が改善につながります。
また、テンプレートを評価表としてだけ使うと、担当者は悪い情報を書かなくなります。停滞理由や未確認事項は、担当者を責める材料ではなく、支援を決める材料として扱います。入力内容から支援が生まれる経験を作ることで、情報の精度が上がります。
SFA・スプレッドシートへ実装する方法
スプレッドシートで始める場合は、一案件一行を基本にし、更新日、更新者、次回確認日を固定列にします。長い議事録を一つのセルへ入れず、顧客側の事実、営業仮説、未確認事項を分けます。入力規則を使う項目は選択肢を増やしすぎず、迷ったときの判断基準を別シートに置きます。
SFAへ実装する場合は、既存項目との重複を確認します。新しいカスタム項目を作る前に、会議やレポートでどのように使うか、更新タイミングをどこへ組み込むかを決めます。自動化できる会社情報や日付と、営業が顧客との会話から確認する情報を分けることも必要です。
どちらの場合も、月次で未入力率だけを見るのではなく、テンプレートを使って判断が変わった案件を振り返ります。支援を早く入れられた、失注リスクを早く確認できた、引き継ぎ後の聞き直しが減った、といった変化を確認します。
運用レビューのチェックリスト
- 導入目的と成功条件を、顧客の言葉で説明できる。
- 約束事項、期待、未解決事項を別欄で管理している。
- 決裁者、管理者、現場利用者、推進者を区別している。
- 初回30日・90日の確認担当と期限が決まっている。
- AEとCSが、導入後に期待値のずれを確認する場を持っている。
チェックリストは、すべてを一度に満たすためではなく、次に直す一項目を選ぶために使います。会議のたびに複数の改善を求めると定着しません。今週は次回アクション、翌週は顧客側の関係者というように、確認対象を絞ります。
既存記事・資料との使い分け
背景や考え方は関連記事、会議や研修で配布する資料は記事下部の資料へ分けています。このテンプレートは自社の営業プロセスに合わせて不要な項目を削り、判断に必要な項目だけを残してください。
運用開始から1か月後には、入力された件数ではなく、テンプレートによって判断が早まった案件、支援を追加できた案件、確認漏れを防げた案件を各一件ずつ選んで振り返ります。変化が見つからない項目は削除候補にし、判断を変えた項目は定義と記入例をチームで共有します。
進め方
実務で進める手順
手順 1
顧客事実を記入する
導入目的、成功条件、関係者を顧客が話した事実として整理します。
手順 2
約束と未解決事項を分ける
正式合意、期待、未確認の要件を別欄にし、CSが確認すべき質問を明確にします。
手順 3
引き継ぎレビューを行う
受注後5営業日以内にAEとCSが短時間で内容を確認します。
手順 4
30日・90日を確認する
成功条件、活用状況、期待値のずれをAEとCSで確認します。
FAQ
よくある質問
AEからCSへ最低限何を引き継ぐべきですか?
導入目的、成功条件、決裁者・管理者・利用者、約束事項、未解決事項、リスク、初回30日・90日の確認計画を引き継ぎます。
商談議事録だけを渡してはいけない理由は何ですか?
議事録だけでは、CSが初回オンボーディングで確認すべき成功条件、期待値、未解決事項、約束の境界を判断しにくいためです。
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