公開: 2026年7月18日 / 最終更新: 2026年8月15日 / 著者: 営業実務ラボ編集部
ISからAEへの引き継ぎテンプレート|必須項目と記入例
ISからAEへ顧客文脈、比較状況、商談化根拠、未確認事項、初回商談の目的を渡すテンプレートを、記入例付きで整理します。

先に結論
ISからAEへの引き継ぎでは、接点のきっかけ、顧客課題、関係者、比較状況、検討期限、商談化根拠、未確認事項を分けて渡します。未確認事項は、AEが初回商談でそのまま使える質問文へ変換します。
- ・顧客事実と営業仮説を分ける。
- ・商談化根拠を日程設定以外で残す。
- ・AEからISへ不足情報を返す。
このテンプレートでできること
ISからAEへの引き継ぎを日程と連絡先だけで終わらせず、AEが同じ質問を繰り返さずに初回商談を設計できる情報へ揃えます。
テンプレートは入力欄を増やすためではなく、現在地と次の判断を同じ言葉で説明するための共通フォーマットです。使い始める前に、誰が入力し、誰が確認し、いつ更新するかを決め、会議や引き継ぎで実際に使う項目だけを残します。
テンプレートの基本項目
| 項目 | 入力する内容 | レビューで確認すること |
|---|---|---|
| 接点・背景 | 流入経路と問い合わせ理由 | きっかけと目的を分けたか |
| 顧客課題 | 現状、影響、変えたい状態 | 顧客の言葉で残っているか |
| 関係者 | 担当者の役割と決裁関係 | 誰が判断するか |
| 比較・期限 | 競合、現状維持、検討期限 | 期限の理由を確認したか |
| 商談化根拠 | Fitと次回目的 | 日程設定だけになっていないか |
| 未確認事項 | AEが最初に聞く質問 | 質問文へ変換されているか |
項目名は自社のSFAやスプレッドシートに合わせて変更して構いません。ただし、同じ意味の項目を複数作らないことが重要です。「確度」「温度感」「ヨミ」「見込み」のような似た言葉が並ぶと、担当者ごとに解釈が変わります。一つの項目には一つの判断だけを持たせ、定義を短い文章で説明できる状態にします。
自由記述は、背景を残すには便利ですが、比較や集計には向きません。選択肢で揃える項目と、顧客固有の文脈を残す記述欄を分けます。たとえばステージや支援要否は選択式にし、顧客の懸念や次回確認事項は短い文章で残します。
コピーして使える空欄テンプレート
次の表をスプレッドシートやSFAの下書きへコピーし、右端の入力欄を埋めてください。事実として確認できていない項目は推測で埋めず、「未確認」と入力して確認担当と期限を決めます。
| 項目 | 確認する内容 | 入力欄 |
|---|---|---|
| 接点・背景 | 流入経路、問い合わせ理由、最初に関心を示した内容 | |
| 顧客課題 | 現状、業務への影響、変えたい状態を顧客の言葉で記入 | |
| 関係者 | 担当者の役割、推進者、責任者、決裁者 | |
| 比較状況 | 競合、内製、現状維持を含む比較対象 | |
| 検討期限 | 期限と、その期限が必要な理由 | |
| 商談化根拠 | Fit、顧客の合意、次回商談で決めたいこと | |
| 営業仮説 | ISが考えている課題・提案仮説。顧客事実と分ける | |
| 未確認事項 | AEが初回商談で使う質問文 | |
| 初回商談 | 日時、参加者、目的、終了時に確認する合意 |
AEが受け入れる条件・ISへ差し戻す条件
| 判断 | 条件 | 次の行動 |
|---|---|---|
| 受け入れる | 顧客課題と初回商談の目的が分かり、未確認事項が質問になっている | AEが追加質問をアジェンダへ入れる |
| 条件付きで受け入れる | 課題はあるが関係者や期限が未確認で、商談内で確認できる | 未確認欄に担当質問を明記して進める |
| ISへ差し戻す | 日程と連絡先だけで、問い合わせ背景や商談目的が分からない | ISが接点の背景と顧客発言を追加する |
| 対象外として戻す | 商談化条件に合わず、顧客にとって次回商談の価値を説明できない | 理由を記録し、条件・育成施策を見直す |
差し戻しはIS個人の評価ではなく、AEが初回商談を設計できる情報が揃っているかで判断します。AEは初回商談後に不足情報を返し、ISと月次で受け入れ条件を更新します。
記入例
| 記入欄 | 記入例 |
|---|---|
| 問い合わせ背景 | 営業会議改善の記事から資料を閲覧し、集計工数を相談 |
| 顧客課題 | 拠点ごとに案件定義が違い、月次予測に2日かかる |
| 検討期限 | 10月の下期運用開始。9月までに選定が必要 |
| 未確認事項 | 決裁者、既存SFAの変更可否、情報システム部の参加時期 |
良い記入例は、第三者が読んでも次の行動を判断できます。「先方検討中」「感触は良い」のような表現だけでは、何を待ち、いつ確認し、誰が動くのかが分かりません。顧客側の合意、未確認事項、期限、担当者を一つのセットとして残します。
記入例をそのまま正解にせず、自社で実際に起きた案件へ置き換えてレビューします。受注案件だけでなく、停滞案件と失注案件でも入力し、どの項目が早い段階で分かっていれば判断を変えられたかを確認します。テンプレートの改善材料は、理想的な案件より、判断に迷った案件から得られます。
導入するときの進め方
- ISとAEで商談化条件と差し戻し条件を一文ずつ定義する。
- 引き継ぎ項目を顧客事実、営業仮説、未確認事項に分ける。
- AEは初回商談前にテンプレートを確認し、追加質問をアジェンダへ入れる。
- 初回商談後にAEが不足情報をISへ返し、月次でテンプレートを更新する。
最初から全案件へ展開せず、5件から10件程度で試します。入力時間、レビュー時間、判断が変わった場面を確認し、使わなかった欄を削ります。項目を追加するときは「この情報がないと、誰がどの判断を誤るのか」を説明できる場合に限定します。
運用開始後は、週次会議や引き継ぎの場で必ずテンプレートを開きます。別の会議資料へ転記させると更新箇所が増えるため、SFA、スプレッドシート、資料のうち正本を一つに決めます。会議中に決まった支援者、期限、次回確認日は、その場で正本へ反映します。
よくある失敗
- 日程、会社名、担当者名だけを渡し、問い合わせ背景が残っていない。
- ISの推測を顧客が話した事実として記録する。
- BANT項目を埋めることが目的になり、次回商談の目的が曖昧になる。
- AEが不足情報を返さず、ISが商談化条件を改善できない。
項目数が多いほど管理が正確になるわけではありません。使われない項目が増えると、担当者はすべてを同じ優先度で扱えず、重要な次回アクションまで古くなります。入力を増やす前に、会議で使わない欄を削る方が改善につながります。
また、テンプレートを評価表としてだけ使うと、担当者は悪い情報を書かなくなります。停滞理由や未確認事項は、担当者を責める材料ではなく、支援を決める材料として扱います。入力内容から支援が生まれる経験を作ることで、情報の精度が上がります。
SFA・スプレッドシートへ実装する方法
スプレッドシートで始める場合は、一案件一行を基本にし、更新日、更新者、次回確認日を固定列にします。長い議事録を一つのセルへ入れず、顧客側の事実、営業仮説、未確認事項を分けます。入力規則を使う項目は選択肢を増やしすぎず、迷ったときの判断基準を別シートに置きます。
SFAへ実装する場合は、既存項目との重複を確認します。新しいカスタム項目を作る前に、会議やレポートでどのように使うか、更新タイミングをどこへ組み込むかを決めます。自動化できる会社情報や日付と、営業が顧客との会話から確認する情報を分けることも必要です。
どちらの場合も、月次で未入力率だけを見るのではなく、テンプレートを使って判断が変わった案件を振り返ります。支援を早く入れられた、失注リスクを早く確認できた、引き継ぎ後の聞き直しが減った、といった変化を確認します。
運用レビューのチェックリスト
- 問い合わせのきっかけと顧客の目的が分かれている。
- 顧客発言と営業仮説を区別している。
- 比較対象と検討期限の確認状況が分かる。
- 未確認事項がAEの質問文になっている。
- 初回商談後のフィードバック担当と期限が決まっている。
チェックリストは、すべてを一度に満たすためではなく、次に直す一項目を選ぶために使います。会議のたびに複数の改善を求めると定着しません。今週は次回アクション、翌週は顧客側の関係者というように、確認対象を絞ります。
既存記事・資料との使い分け
背景や考え方は関連記事、会議や研修で配布する資料は記事下部の資料へ分けています。このテンプレートは自社の営業プロセスに合わせて不要な項目を削り、判断に必要な項目だけを残してください。
運用開始から1か月後には、入力された件数ではなく、テンプレートによって判断が早まった案件、支援を追加できた案件、確認漏れを防げた案件を各一件ずつ選んで振り返ります。変化が見つからない項目は削除候補にし、判断を変えた項目は定義と記入例をチームで共有します。
進め方
実務で進める手順
手順 1
条件を定義する
ISとAEで商談化条件と差し戻し条件を揃えます。
手順 2
情報を分ける
顧客事実、営業仮説、未確認事項を別欄にします。
手順 3
質問へ変える
未確認事項をAEの初回商談質問へ変換します。
手順 4
結果を戻す
AEが初回商談後に不足情報をISへフィードバックします。
FAQ
よくある質問
ISからAEへ最低限何を引き継ぐべきですか?
接点の背景、顧客課題、担当者の役割、比較状況、検討期限、商談化根拠、未確認事項、初回商談の目的を引き継ぎます。
確認できなかった項目は空欄でよいですか?
空欄にせず未確認と明記し、AEが初回商談で聞く質問へ変換します。推測で埋めるより、確認状況を正確に残すことが重要です。
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